カリフォルニアはオートバイ天国です。オートバイ愛好家にはたまらない要素がいっぱい詰まっています。
第1に、天候です。雲一つない晴天が続くことが多く、湿気も少ないです。オートバイ乗りにとって大敵の雨に見舞われる心配はあまりないわけです。オープンカーがカリフォルニアにぴったりであるように、オートバイもカリフォルニア向きなのです。
映画『イージーライダー』をご存知でしょうか。舞台はカリフォルニアで、ピーター・フォンダがまたがるマシンはカリフォルニア流のチョッパーでした。(1960年代のカウンターカルチャーを象徴するこの映画は中学生のころに見て感銘を受け、「いつかは自分でもイージーライダーのように旅をしたい」と思ったものです。)
映画の中ではピーター・フォンダもデニス・ホッパーもレインウエアを積んでいる様子はありませんでした。わたしはこの映画を見た時、「雨に降られたらどうするのだろう」と思いましたが、カリフォルニアに住むようになって疑問が解けました。レインウエアは不要なのです。
第2に、オートバイ乗りを敵視する雰囲気がありません。日本では長らくオートバイは高速道路での2人乗り禁止や速度制限などで虐げられてきました が、カリフォルニアでは逆です。高速道路では「カープールレーン」の走行を認められているのです。
カープールレーンとは、渋滞緩和や環境対策の一環として特別に設けられた車線です。4輪車の場合は、相乗り(通常は2人以上)に限ってカープール レーンの利用を認められます。一般の車線と比べて空いているから、すいすいと走れます。「渋滞緩和や排ガス削減につながる」との理由でオートバイもカー プールレーンも利用できるわけです。
第3に、大自然に囲まれたツーリングルートがすぐそばにあります。例えば「パシフィック・コースト・ハイウエー」と呼ばれる州道1号。全長1千キ ロもあります。海岸線を走る自動車道としては「世界で最も美しい」とも言われています。特に夕方は水平線に沈む西日がとてもきれいです。
海岸とは逆の山側へ行くと、そこはモハーベ砂漠です。オフロードバイク愛好家にとってはたまらない場所です。写真は、昨年にロサンゼルス・タイム ズ紙が掲載した「モハーベ砂漠を大型オフロードバイクに乗ってツーリング」という特集記事です。
一般紙がオートバイツーリングでこんな大特集を組むのは、カリフォルニアならではですね。記事中には「オフロードバイクはミッドライフクライシス (中年の危機)脱出の決定打であり、男性更年期はいつの時代も成長産業」と書いてありました。
わたしはオートバイ愛好家でありながら、もう何年もの間オートバイに乗っていません。「子供が小さい間は無理」とあきらめています。週末に妻子を 放り出してモハーベ砂漠を旅するわけにはいかないのです。
もっとも、映画俳優のユアン・マクレガーが妻子を残してBMWの大型オフロードバイクにまたがり、ユーラシア大陸を横断した例もあります。そのド キュメンタリー番組を見て、わたしは興奮しました。
BMW、ユアン・マクレガー、カリフォルニア――。これについては別の機会に書きます。
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