2月5日、カリフォルニアへ移住してから初めて歯医者を訪ねました。特に歯に問題があったわけではないのですが、定期検診とクリーニングをしてもらおうと思ったのです。日本で最後の検診を終えてから、半年以上経過していたからです。
わたしの健康保険は歯科治療をカバーしていません。できれば歯科保険に入りたいところですが、アメリカの歯科保険は高額なので、入っていません。いい加減な治療で高額な料金を取るような歯医者に遭遇すると、悲劇です。そこで、妻が信頼する友人に聞いて、いい歯医者を紹介してもらいました。
「初めて電話します。定期検診とクリーニングをお願いしたいのですが」
「保険は入っていますか?」
「AIG系の医療保険には入っていますが、歯科治療はカバーされていません」
「どうしてドクター・キムに診てもらいたいのですか?」
「ジェシカという友人に紹介してもらったのです」
「ああ、ジェシカね。とてもいい人よね。たまたま明日の午前中にキャンセルがあったのだけれども、いかが?」
こんな具合ですぐにアポが取れました。
約束の時間にオフィスを訪ねると、受付で「ようこそ! えーと、牧野さんでしょ? 新しい患者さんね。よろしく」と歓迎されました。そして、住所や職業などのほか、現在の健康状態などについて詳しく書かされました。
書き終わるとすぐに奥へ案内され、まずはX線写真とクリーニング。この部分は日本とあまり変わりません。違いと言えば、1つはクリーニング中に1度もうがいの機会がなかったこと、もう1つは衛生士が歯以外のことについて気さくに話しかけてくること。
さて、クリーニングが終わり、ドクター・キムとご対面。さっと口内を調べてもらうと、「手入れはそれなりにしているようですね。一部、歯茎が弱っていますから、歯磨きとフロスをきちんとしてください。半年後にまた来てください」
会計の窓口に行くと、窓口に座っていた女性から「お疲れさまです。会えてうれしいです。あら、特に問題はなかったのね。本当に良かったですね」と言われました。
そのまま日本語に訳すと、やや不自然に聞こえますが、英語では自然です。典型的な南カリフォルニア人の陽気さを示しています。単に人懐っこいというだけでなく、「巨額の治療費を払わなくて済んで良かったわね」という意味合いも含まれていたのでしょう。
点検とクリーニングだけでいくらかというと、265ドル。国民皆保険の日本では考えられないような値段です。窓口の女性は「今回はX線写真を撮ったから、高くなったのです。向こう数年間はX線写真を新たに撮る必要はないです。だから、特別な治療がなければ次回は安くなります」との説明を受けました。
ドクター・キムの事務所はオフィスビルの1室で、2階にあります。事務所から出て階段を降り、1階の出口へ向かうと、1人の女性が出口の扉を開けたままで待っていてくれました。
「ドアを開けていてくれて、どうもありがとう」
「どういたしまして。虫歯はあった?」
突然、あたかも旧知の間柄のように聞かれて、戸惑ってしまいました。
「いいえ、なかったですよ」
「あらそう。それは良かったわね。良い1日を!」
ちなみに、この女性は歯医者とは無関係で、おそらく同じオフィスビルで働いている人でしょう。直感でわたしが歯医者の患者だと判断したのだと思います。
南カリフォルニア人はニューヨーク人や東京人とは全然違い、フレンドリーで親しみやすいです。
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