きょうの夕食後、次女のMにバナナを食べさせていると、長男のAが『3匹やぎのがらがらどん』という絵本を持ってきて、「パパ、これ読んで!」とせがんできました。
「まず寝間着に着替えて。そしたら読んであげるから」
すると、Aは寝室に駆け込んであっという間に寝間着姿に。でも、わたしはまだMにバナナを食べさせていたから、すぐには読んであげられません。
「いま忙しいから、ママに読んでもらって」
「だってママはKちゃんを抱っこしているよ」
長女Kは、Aがおもちゃにしている段ボールを使わせてもらえず、泣いていたのです。
「それじゃ、おじいちゃんに読んでもらって」
「嫌だ、おじいちゃんじゃ読めない。Mちゃんが食べ終わるまで待っている」
そうこうしているうちに、Kが泣き止み、Aはママの所へ行って『がらがらどん』を読んでもらえました。
さて、それから小1時間がたちました。AもKも歯磨きを終え、寝る準備は完了。すると、Aがまたやってきて、「ねえ、本読んで!」。
「さっき、ママに読んでもらったでしょう」
「だってもう読んじゃったよ」
「ならいいじゃない」
「長くなくていいから。こんだけのでいいから読んで!」
Aは「こんだけ」という言葉を使う際に、両手で10センチほどの隙間を空けて見せました。つまり「とても短い本でいいから読んで」という意味です。こんな頼まれ方をしては、もう断れません。
「そう。ならどの本がいい?」
すると、Aは本棚から『さむがりやのサンタ』を持ってきました。
「それは長いじゃない。もっと短いのない? 『おさるのジョージ』はどう? それなら読んでもいいよ」
就寝前、布団の中でAに本を読んであげるのがほぼ日課になっています。Aはそれが楽しみで仕方がなく、本を読んでもらえないとなかなか寝られません。一方、Kは自分で本を読むことが多くなっています。
実は、Aは昨年夏に4歳になったというのに、いまだに字の読み書きができません。ひらがなで自分の名前も書けません。4歳の時にひらがなを自由自在に使っていたKとは大違いです。「男の子は女の子と比べて成長が遅い」と言われていますが、それだけが理由ではないようです。
というのも、Aは4歳の誕生日を迎えて、すぐにアメリカへ来てしまったからです。ちょうど字を覚え始めるタイミングであったにもかかわらず、ひらがなを勉強するどころではなくなり、一刻も早く英語に慣れなければならなくなったのです。とはいっても英語の壁は高く、Aは今も英語をほとんど話しません(保育園では一言も話しません)。結局、日本語も英語も中途半端になっているわけです。
想像するに、Aは自分で本を読めないから、本に飢えているのでしょう。保育園でも先生が園児に本を読んであげています。ただ、英語ですから、Aにとっては内容は簡単に理解できないかもしれません。
となると、親から日本語で本を読んでもらうことが一番うれしいはずです。ならば、Aの要望には気持ちよく応えてあげなければなりません。『おさるのジョージ』は英語ですが、日本語も交ぜながら読むようにしています。
問題なのは、布団の中で本を読んであげていると、本でいる親も子供とシンクロして、眠くなってしまうことです。やり残しの仕事があるというのに、はっと気がつくと朝になっていた――。こんなことがこれまでに何度もありました。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。